外部資源EAPと連携し、孤独な経営から脱却する
連載:小規模事業所のための産業保健の新潮流【第4回】
1. EAP(従業員支援プログラム)とは何か?
EAP(Employee Assistance Program)は、現在は「メンタルヘルス」「人間関係」「私生活の悩み」など、仕事のパフォーマンスに影響を与えるあらゆる課題を解決するための外部専門家による支援サービスを指します。自社で産業医やカウンセラーを直接雇用するのが難しい小規模事業所にとって、プロの知恵をアウトソーシングできる合理的かつ現代的な仕組みです。
2. 小規模事業所へのストレスチェック義務化のスケジュール
これまで50人未満の事業所ではストレスチェックは「努力義務」でしたが、法改正により全事業場での実施が義務付けられました。
義務化の概要: 常時50人未満の労働者を使用するすべての事業場が対象となります。
今後の予定: 2025年(令和7年)5月14日に改正法が公布されました。そこから「3年以内の政令で定める日」に施行されることとなっており、最長で2028年(令和10年)5月までには、すべての事業場で義務化が開始されます。
少人数の職場で内部のみで運用するのは匿名性の確保や実務負担に限界があるため、この施行までの期間に外部資源との連携を構築しておくことは、コンプライアンス(法令遵守)への不可欠な備えとなります。
3. ストレスチェックの実務:対象者・実施者・報告義務
経営サイドが実務上、特に留意すべき点は以下の通りです。
対象者の基準(4分の3要件): 正職員および、週の労働時間が正職員の4分の3以上のパート・アルバイトの方が受検対象となります。
「実施者」の選任: 医師、保健師、または一定の研修を受けた看護師・精神保健福祉士・公認心理師などが務める必要があります。外部の機関に依頼するのが一般的です。
受検の「非強制」ルール: 事業所には実施義務がありますが、職員に受検を強制することはできません。無理に受けさせるのではなく、「自分の状態を知るためのツールであること」や「結果は経営サイドには漏れない」という安心感を丁寧に伝え、自発的な受検を促す文化づくりが求められます。
労働基準監督署への実施報告: 義務化後は、実施結果を労働基準監督署へ報告する義務が生じます。実施自体に直接の罰則はありませんが、この報告を怠った場合には「罰金」が科される可能性があるため、報告までを見据えた体制づくりが必要です。
4. 公的な「産業保健センター」と民間の「EAP」を賢く活用する
外部資源には、国が設置している「地域産業保健センター(地産保)」と、民間の「EAP」があります。
地域産業保健センター(公的): 医師による意見聴取や相談を原則無料で提供。義務化に向けた法的・医学的な土台作りに適しています。
EAP(民間): LINE相談や組織コンサルティングなど、より機動的で「伴走型」の支援に強みがあります。
5. 経営者や管理者の「孤独」を支えるバックアップ機能
外部資源の活用は、制度対応のためだけではありません。実は「経営者や管理者自身のセーフティネット」としての側面が非常に重要です。
管理監督者支援: 義務化によって発生する「不調者への対応」や「職場改善」の進め方を、一人で抱え込まず専門家に相談できます。
自分自身のケア: 数人から十数人の生活を背負う重圧は相当なものです。管理職自身が外部に思考を整理できる場所を持つことは、組織全体の安定に直結します。
6. 道内における外部活用の現状と費用感
北海道においても、オンラインの普及により地域を問わず専門的な支援が受けやすくなっています。
費用の目安(民間EAP):オンラインで 1人あたり月額数百円〜千円程度からパッケージプランが存在します。
北海道の特性: 道内の各「地域産業保健センター」は地元医師会と連携しており、義務化に向けた身近な相談窓口として非常に頼りになります。
7. 失敗しないための「民間EAP」選び 5つのポイント
相談の入り口が多様か: LINEやメールなど、心理的ハードルが低いツールがあるか
「経営者・管理者向け」支援があるか: 管理者専用の相談枠があるか
現場への理解があるか: 業務上の特性を丁寧にヒアリングしてくれるか
「私生活の悩み」もカバーしているか: 借金、介護、育児など専門家と連携しているか
オンライン対応の質: 広域な北海道でも「顔の見える」配慮がなされているか
8. まとめ:外部の力は「組織の安全装置」
最長2028年5月までの義務化に向け、実施から「報告」までの体制づくりが必須
受検は強制できないからこそ、日頃の信頼関係と「安心感」の醸成が重要
経営者や管理者が一人で悩まないための「バックアップ機能」を確保する
次回、いよいよ最終回です。 「第5回:未来への投資:健康経営がもたらす採用力と定着率」です。
これまでのステップが、いかにして「選ばれる職場」という強い組織づくりに結びつくのか。人手不足の時代を勝ち抜くための総括をお伝えします。
(GoogleAIが原文作成し公認心理師が加筆しました)