公認心理師に聞く!働くみんなのこころを支えるEAPとは
【新社会人向け】働くみんなの心を支える「EAP」ってなんだろう?
はじめに:会社にある「心の保健室」の話
みなさん、こんにちは! ぽぷら事業所の公認心理師です。新社会人の皆さんが安心して働くために、とても大切な仕組みである「EAP」についてお話しします。
EAPとは「従業員支援プログラム」の略です。少し難しい言葉ですが、簡単に言えば「働く人のための、心とキャリアの相談室」や「会社の保健室」のようなものだと思ってください。社内の産業保健スタッフ(産業医・看護師・心理師など)が、働く人の仕事の悩みや人間関係のストレス、将来のキャリアのことなど、様々な相談にのってくれます。
このレポートでは、そんなEAPが今どうなっているのか、そしてこれからどうなっていくのかを、できるだけ分かりやすく解説していきます。
1. 会社の外?中?EAPの2つのタイプ
この「会社の保健室」には、実は大きく分けて2つのタイプがあります。皆さんが会社で利用する際に関わってくることなので、知っておくと便利です。
外部EAP:「会社とは別の専門機関」に相談するタイプ 会社が契約している、外部の専門カウンセリング会社などが相談窓口になります。 最大のメリットは、プライバシーがしっかり守られること。「相談したことが会社に伝わってしまうのでは…」という心配がなく、安心して何でも話せます。カウンセラーはもちろん、法律やお金の専門家など、幅広いプロが揃っているのも心強い点です。
内部EAP:「社内の専門スタッフ」に相談するタイプ 会社の中に相談室があったり、人事部に専門のカウンセラーがいたりするタイプです。 メリットは、社内の事情に詳しいことと、気軽にアクセスしやすいことです。「学校の保健室の先生」のように、身近な存在として相談に乗ってくれます。会社の文化や人間関係をよく理解しているので、話が早く、具体的なアドバイスをもらいやすいのが特徴です。
※ 多くの会社では、日常的な相談は「内部EAP」で、よりプライベートな悩みや専門的な相談は「外部EAP」で、というように両方を上手に使い分けています。
2. EAPはどう変わったの? ― 治療から予防と応援へ
昔のEAPは、例えるなら「ケガをしてからの治療」がメインでした。つまり、心の不調で深く悩んでしまった人へカウンセリングを行うのが主な役割だったのです。
でも、最近は大きく変わってきました。現在は「ケガをしないための体づくり(予防)」と「もっとパフォーマンスを上げるためのトレーニング(応援)」に力を入れています。
変化①:そもそも不調にならない職場づくり(予防) ストレスの原因を分析して「どうすれば、もっと働きやすい職場になるか」を会社と一緒に考えたり、ストレスとの上手な付き合い方を学ぶ研修(セルフケア研修)を開いたりしています。「病気になってから」ではなく「病気になる前に」手を打つのが主流になっています。
変化②:もっと「いきいき」働くための応援 ただ不調でない状態を目指すのではなく、「仕事が楽しい!」「やりがいがある!」と感じられる状態(これをワーク・エンゲイジメントと言います)を応援する活動が増えています。「失敗しても大丈夫だよ」と安心して何でも話せる雰囲気(心理的安全性)のあるチーム作りをお手伝いするのも、EAPの新しい役割です。
3. EAPの専門家ってどんな人? ― 2つのプロフェッショナル
EAPには、いろいろな専門家が関わっています。ここでは特に重要な2つの役割を紹介します。
公認心理師:「心」のプロ 個人の悩みをじっくり聞くカウンセラーのイメージが強いかもしれません。もちろんそれも大切な仕事ですが、最近はそれだけではありません。 クラス全体が元気ない時に原因を探る先生のように、職場全体の心の健康状態を分析したり、もっとチームワークが良くなるような研修を企画・実施したり、さらには社長や役員に「もっと会社を良くするために、こんなことをしませんか?」と提案したりする、組織のコンサルタントのような役割も期待されています。
衛生管理者:「現場と法律」のプロ 会社で働く人たちが安全で健康に働けるように、法律のルールを守りながら現場を整える専門家です。 例えば、職場の環境をチェックして回ったり、健康診断の準備をしたりします。メンタルヘルスの面では、公認心理師のような外部の専門家と、職場の「今」をつなぐ「橋渡し役」として非常に重要です。現場のリアルな声を専門家に届け、専門家のアドバイスを現場で実行できるようにサポートする、頼れるキーパーソンです。
4. 特にEAPが必要とされている職場は?
世の中にはいろいろな仕事がありますが、中でも特に「心の支え」が必要とされている分野があります。
介護福祉の現場 人の役に立つ、とても尊い仕事です。しかし、人手不足で忙しかったり、利用者さんとの関わりで心をすり減したり(これを感情労働と言います)することが多く、心身ともに疲れ果ててしまう(バーンアウト)人も少なくありません。EAPは、職員の方々が安心して気持ちを吐き出せる場を提供し、離職を防ぐ手助けをします。
保育や児童デイサービスの現場 子どもたちの命を預かり、成長を支える、やりがいの大きな仕事です。その分、常に安全に気を配る緊張感や、保護者の方との丁寧なコミュニケーションなど、精神的な負担も大きいのが現実です。職員の方々の心の健康は、子どもたちの笑顔に直結します。EAPは、職員の方々が一人で悩みを抱え込まないようにサポートします。
教育の現場(学校の先生など) 先生方も、授業の準備だけでなく、生徒指導や保護者対応などで長時間働き、大きなストレスを抱えています。先生がいきいきと働けることは、子どもたちの教育環境にとって非常に大切です。EAPは、先生方が安心して相談できる窓口として、その役割が期待されています。
5. 大事なお知らせ:「ストレスチェック」が全ての会社の義務になります!
最後に、みなさんにも関わる大切な制度の変更についてです。 自分のストレス状態を知るための「ストレスチェック」という制度があります。最近では、スマホやパソコンを使ってWeb上で簡単に受けられるものが主流になっていますので、忙しい方でも安心です。
これまでは、社員が50人以上いる比較的大きな会社の「義務」でした。しかし、法律が変わり、近い将来(遅くとも2028年5月まで)には、会社の大きさに関わらず、全ての会社でストレスチェックを行うことが義務になります。
これは、「働く一人ひとりの心を、社会全体で大切にしていこう」という国からの強いメッセージです。 「でも、うちみたいな小さな会社はどうすれば…?」と不安に思う経営者の方や担当者の方もいるかもしれません。何から始めたらいいか分からない時は、ぜひ私たちのような専門家にご相談ください。一緒に最適な方法を考えましょう。
おわりに:安心して働ける未来のために
EAPは、単なるお悩み相談室から、働く人と会社を元気にし、成長を後押しする「戦略的なパートナー」へと進化しています。
これから社会に出るみなさんが、どんな職場でも心身ともに健康で、自分らしく輝けるように、私たち専門家も全力でサポートしていきます。もし職場でEAPの案内を見かけたら、それは会社があなたのことを大切に思っている証拠です。ぜひ気軽に活用してみてください。
(GoogleAIが原文作成し公認心理師が加筆しました)